アーモンドミルク10周年
日本にアーモンドミルク市場が形成されるまで
日本の小売市場にアーモンドミルクが登場するようになったのは2013年のこと。アーモンドの本場・米国から「ブルーダイヤモンド アーモンドブリー ズ」が上陸し、同時期に「グリコ アーモンド効果」が発売されました。メディアが牛乳、豆乳に次ぐ「第3のミルク」としてアーモンドミルクを大きく取り上げたことを契機に、市場は大きく拡大しました。その後、アーモンドミルクは消費者の支持を受けて、「植物性ミルク」として、日本市場に定着。堅調に売上を伸ばしてきました。

日本市場に定着したアーモンドミルク
日本市場にアーモンドミルクが登場した2013年当初、販売金額は700万円、販売量は1,080KLでした。2014年には200mlパックだったものが、消費者の支持を受け2015年からは、1Lパックも発売しています。2017年からは市場拡大を受けて、缶、プラカップ、PETボトルなど多様な飲用シーンや販売機会に合わせて製品が多彩化していき、スターバックスなど大手コーヒーチェーン店で採用されたことを機に、業務用のアーモンドミルクも拡大していきました。2022年には、販売金額が1億5560万円(2013年の約22倍)、販売量32,900KL(2013年の約30倍)となり、近年でも着実に市場拡大へと推移しています。


出典:アーモンドミルク研究会
アーモンドミルクが日本にひろがった理由
1. 植物性ミルクへの関心の高まり

近年の健康意識や、植物性食品(プラントベースフード)への関心の高まりを背景に、豆乳やアーモンドミルク、ライスミルクなどの植物性ミルクへの関心は広がってきました。中でもアーモンドミルクは、2021年秋にテレビ番組で紹介されたことを契機に、健康効果の高いミルクとして、選ばれるようになってきており、当研究会の実施した調査でも、女性のふたりに1人がアーモンドミルクを飲んでいることがわかっています。 また健康効果だけでなく、すっきりとしていて飲みやすいアーモンドミルクのおいしさや料理への応用のしやすさも選ばれている理由のひとつです。
2. 料飲店への広がり

現在では大手コーヒーチェーン店やコンビニでもアーモンドミルクを飲むことができるようになりました。 スターバックスでは植物性ミルクカスタム(スターバックスラテのみ)が追加料金なしになったり、コンビニのカフェコーナーでアーモンドミルクラテが販売されたりと、わたしたちにとって身近な飲み物になっています。
シェフ 渡邉明氏からのコメント
くせがなくスッキリとした味わい
メニューにも取り入れています
ビーガンレストランの多いロサンゼルスやサンフランシスコでは、デザートやコーヒーにアーモンドミルクがよく使われています。アーモンドミルクはコクが強く甘いイメージがありますが、実際にはくせがなくスッキリとした味わいなので、料理に使いやすい点でおすすめです。アーモンドミルクラテやアーモンドミルクスムージーだけでなく、アボカドやチキン、白身魚とも相性が良く、レストラン「TRATTORIA庭」では、メニューのひとつ「スパゲッティーニ アボカドとバジルのアーモンドクリームソース」に取り入れています。



PROFILE
渡邉 明(わたなべ あきら)
1965年生まれ、埼玉県出身。幼いころからの夢は「料理人になりたい。」数々のレストランの門を叩き、修行を重ね、イタリアに長期滞在。帰国後は、代官山の伝説のレストラン「TABLEAUX」の初代料理長などを歴任、実績を重ねる。
現在、オーナーシェフとして自らの店舗を多数構える傍ら、TV雑誌等メディアにも多数登場。また培ってきた調理技術・営業ノウハウそして、潜在的な発想力を活かし、数社のフードコンサルタント・フードプロデュースを手がける。
- 店舗案内
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TRATTORIA 庭(トラットリア ニワ)
〒107-0061 東京都港区北青山3-5-4 OMOTESANDO LAB 1F
3. 健康・美容効果

アーモンドミルクは、牛乳と比較して低カロリー、低糖質、コレステロールゼロであるため、牛乳の脂肪分が気になる人やダイエット志向の人に積極的に飲まれています。健康効果だけでなく、ビタミンやミネラル、食物繊維などの豊富な栄養素により、女性にうれしい美容効果もあります。中でも「若返りビタミン」とも呼ばれるビタミンEは、強力な抗酸化作用を持ち、老化や生活習慣病を防止してくれます。
また、アーモンドをそのまま食べるよりも、細かく砕いてアーモンドミルクとして摂取した方が栄養素の吸収率が良いことも、アーモンドミルクが好まれる理由の一つです。
研究会メンバーからのコメント

アーモンドミルクにすると
吸収率も上がり効果的です
慶應義塾大学医学部教授井上浩義 先生
アーモンドにはビタミンE、オレイン酸、食物繊維、ミネラルなどの栄養成分が豊富に含まれています。『天然のサプリメント』と呼ばれるアーモンドの魅力的な栄養素は、粒で食べるよりも液状で摂る方が、体内への吸収が良くなります。いつまでも健康で若々しくいたい人たちや、子どもや高齢者にもアーモンドミルクの摂取をおすすめします。
PROFILE
医学博士、理学博士。九州大学理学部化学科卒業。同大学院理学研究科博士課程修了。専門は薬理学、原子力学、高分子化学。食と健康についての造詣が深く、企業や一般人向けのセミナーの講師を数多く務める。著書に『食べても痩せるアーモンドのダイエット力』(小学館)、『アーモンドを食べるだけでみるみる若返る!』(扶桑社)など。

美しくなるためには、ビタミンEの十分な摂取がおすすめ
ウォブクリニック中目黒総院長 皮膚科医髙瀬聡子 先生
アーモンドミルクにはビタミンEが豊富に含まれています。くすみやゆらぎ肌、乾燥といった肌の悩みがあるなら、ビタミンEの十分な摂取は欠かせません。またアーモンドには若々しさを保つための抗糖化作用も期待されていますので、健康で美しくあるためには、アーモンドミルクがおすすめです。
PROFILE
1995年、東京慈恵会医科大学を卒業後、同大学付属病院で皮膚科勤務を経て、2003年、自身のスキンケアブランド「アンプルール」を開発。2007年美容皮膚科クリニック「ウォブクリニック 中目黒」を開院し、総院長を務める。日本美容皮膚科学会会員、日本皮膚科学会正会員。

低糖質・低カロリーで、
料理にもおすすめです
インナービューティースペシャリスト 調理師・管理栄養士マリー秋沢 さん
低糖質・低カロリーが特徴のアーモンドミルク。独特の風味が気になることもなく、あっさりしてくせがないため、レシピにも牛乳の替わりによく取り入れています。ビタミンEは、加熱処理による損失が少ないという特長もあります。脂溶性のビタミンなので、油と一緒に摂ることでより多くのビタミンEを吸収することができますよ。
PROFILE
有限会社ビューティーニーズ代表取締役、(一社)日本ニュートリションフーズ協会 代表理事、上智大卒、元ミスユニバース近畿代表。内側からの美、“インナービューティー”の大切さを日本で初めて紹介し、美容業界に浸透させる。糖質オフ料理教室、講演、レシピ開発などを行う。近著にメディアでも取り上げられ、重版もかかった「50歳で糖尿病になり、85歳の今も現役医師の父を救った食事法」(青萠堂)。少しでも多くの糖尿病の方に希望の光を届けられるように、全国の図書館や医療機関に書籍を寄贈し、現在は全国の講演活動で父が実践した糖質オフの食事を、糖尿病の方に向けて紹介している。

アーモンドミルクでアンチエイジング
管理栄養士柴田真希 さん
紫外線が気になる季節や、お肌のケアなどを気を付けたい時には抗酸化物質をしっかりと摂ることを心がけましょう。アーモンドミルクに含まれるビタミンEはビタミンCやビタミンAといっしょに摂ることでその効果を上げることができます。緑黄色野菜を使ったカレーやスープ、果物を入れたスムージーなどにアーモンドミルクをプラスして毎日の食事にとり入れてみてはいかがでしょうか。
PROFILE
株式会社エミッシュ代表取締役。女子栄養大学短期大学部卒業後、お料理コーナーの番組出演をはじめ、各種媒体にレシピ・コラムを掲載する他、食品メーカーや飲食店のメニュー開発、プロデュースなどを手がける。『スーパーミルク健康法』(小学館)をはじめとした著書、セミナー講師実績など多数あり。
はじまる国産アーモンドの生産と商品化
日本で見かけるアーモンドの商品の多くは、アメリカやオーストラリア、スペインなど海外から輸入したものがほとんどです。日本でのアーモンドの生産は少ないですが、近年少しずつ日本各地にアーモンドの産地は広がってきています。それに伴い国産アーモンドを使った商品の販売も徐々に増えてきています。
鹿児島県 湧水町
鹿児島県の湧水町では、アーモンドの花や実を活用して地域活性化を目指す「アーモンドプロジェクト」が進行中です。2,700本余りのアーモンドの木を栽培しており、国産アーモンドを使った新たな特産品の開発も進められています。


広島県尾道市 生口島
しまなみ海道に位置する生口島では、アーモンドやピスタチオなど6種類のナッツの木を植える、「しまなみナッツファームプロジェクト」が始まっています。2022年に行われた植樹祭には、地域住民や子どもたちが参加しました。

香川県 小豆島
また、小豆島にあるオリーブなどを栽培・販売している井上誠耕園では、約5年前にナッツの健康価値を知ったことをきっかけに、2023年1月からアーモンドの栽培を開始しています。将来的にはアーモンドを使って小豆島の地域活性化に貢献できるよう取り組んでいます。




外国産のイメージが強いアーモンドですが、国内での生産や国産アーモンドの商品化により、今後はアーモンドはわたしたちにとってより身近なものになっていくでしょう。